驚天動地

monna88882016-03-06

米原(まいばら)の東横インで目が覚めて、琵琶湖を覗きたい目的で2日目の旅の始まり。TPが地図を見て「彦根!安土城!」と興奮しているけれど、私は何となく近江八幡とやらをお参りしたい。青春18きっぷを解禁して、まずは琵琶湖周辺をうろうろします。

近江八幡という地名。近江八幡神社がきっとあるんだろうと電車で20分ほど、着いてみると駅前の地図には近江八幡宮らしきものは見当たりません。てくてくと琵琶湖の方へ歩き始めてみると、買ったばかりの無印のスニーカーが痛く、足取りが重たくなってきたけれどがんばって歩きました。

大通りを歩き続けていると、急に江戸時代にタイムスリップしたような街並が見えてきました。わ、行こう行こう!と向かってみると、常日頃愛用しているメンタムの近江兄弟社の、博物館と工場がありました。

悔しいことに土日は休館日、ガラスに鼻をつけるように、展示をじっとりと眺めます。

小ぶりな八幡宮を見つけてお参りをします。天岩戸の方とか、色々なお社が並んだ不思議な場所。すぐそばにケーブルカーがあったので上がってみます。名物だという赤コンニャクのおでんを食べながら、待ち時間に、このあたりでメンタムを買える場所はありますか?と尋ねると、しばらくしてケーブルカーが出発する間際、近江八幡特製のお土産用メンタムリップクリームを持ってきて下さり、私にくれるとおっしゃいます。感激しながら、あたしは今後一生、メンタムを大切にしよう、ずっとメンタム派でいよう、そう心に誓います。


わずか数分のケーブルカーで流れるアナウンスで、どうやら秀次という戦国時代のもらわれっ子が開いた街であること、悲劇の人であることを知ります。曇り空だけれど、天氣予報は雨だったので、雨が振っていないだけでもありがたいと琵琶湖を眺めます。

次は電車で安土の駅に戻る道。安土城跡が行きも帰りも見えたので降りずに彦根駅で降りてみます。彦根って、あの彦ニャンの?琵琶湖のほとりにあるとは知らず、思いがけず彦根城を散策です。天守閣から眺める景色。滋賀県

係の人に、琵琶湖のほとりへ行く道を尋ねて、30分ほど歩いて琵琶湖へ。今生で、生まれて初めて見たかも、琵琶湖。子どもの頃に来たことがあったと思い込んでいたけれど、きっと来たことはなかった、それほど大きな湖というよりも向かい側が見えない永遠の水。呆然としていると偶然に彦根駅行きの無料バスが来たので、乗り込みます。

彦根駅から米原駅へ。そこから岐阜駅へ。今生で生まれて初めて降りる駅、少し歩くと古い民家のような建物にギュウギュウに人が詰め寄せているパン屋さんがあったので、紛れ込んでずっしりと重たいパンを買ってみます。

サカエパン。食べるのが楽しみ。

東京までの帰りの路線は静岡方面と決めているので、途中で数年前に名古屋を旅行したときに見損ねた犬山城を目指します。確かこの近くだったと鵜山駅で降りると、駅員さんが名鉄に乗ってもうひと駅行った方がいいと教えてくれます。本数のあまり多くない電車が1分後に出ると言うので、走って改札を抜けてひと駅。出口を探して歩き出すと、駅員さんが声をかけてくれて、切符に穴が開いてないでしょう、自動改札機から出られるように入場券と取り替えますね、とのこと。どうやら鵜山駅の駅員さんが連絡を入れてくれたようで、犬山城の自動改札をスムーズに抜けられるように、切符を取り替えてくれたのです。ありがたやありがたや。駅を出て、木曽川沿いを歩くとすぐに犬山城が見えました。

てくてくと歩いて15分ほど。何てかわいいお城なんだろう?何の秘密だろう、この可愛さは、そう思いながら近付いて、入城料を払って木造の階段を上がって天守閣から木曽川を眺めます。

床にぺったりと座り込んで、隠し部屋などを覗いていると遠い昔、あたしがお姫様だった頃の記憶が蘇るかのような妄想。

犬山城を下りると、もうひとつ先の駅までは城下町を保存したり模したりしている商店街、楽しく歩きながら名鉄に乗り込みます。鉄子調べで金山駅でJRに乗り換え、豊橋を通過して、TPが昔おしごとで来て感激したうなぎ屋さんがあると浜松駅で降りました。雨。雨。ダダ振りの中、傘をさして歩きながらうろ覚えの記憶で何人もの人に道を尋ねながらようやくたどり着いたうなぎ屋さん八百徳は、店に入ってからも、うなぎが来てからもTPは首をひねって、ここだったっけな?などと言っていますが、どちらにしてもフワトロの絶品うなぎ、ほっぺたが落ちます。


今日は完璧な、キラキラの一日やったね〜とはしゃぐような心持ちで、本日の目的地、焼津駅への電車に乗ろうと浜松駅の階段を降り始めたそのとき、突然のショックはやってきました。無◯の靴が、ツルッとすべって、私の身体は一瞬宙に浮き、同時にコンクリートの階段に背中から叩き付けられました。わーん!と叫び、全身の痛みを叫びながら逃がすように、あまりの叫び声の大きさに驚いて半笑いのTPから起こしてもらいながら、もう一歩踏み出すと、何とまた!つるりっとすべってデジャブのように身体が宙に浮いて再び尾てい骨と両肘を段々に叩き付けられて。失神しそうになります。何だこの靴は!魔法のようにすべるのです。全身の痛みに耐えながらそろそろと階段を降りて、もう二度とすべらないように駅まで向かいます。

TPはどういうわけか笑いを噛み殺すような顔で、大丈夫?まさか二度転ぶと思わんやった、門ちゃんは二度転ぶって覚えとこう。二度転ぶ人がおるとは思わんやったけん、などと言いながら「東尋坊で、先端まで行かんで正解やったかも知れんよ、先端まで行ったらお前、死んどったよ」となぐさめるようなことを言っていました。痛い痛い、全身が痛い、世界がひっくり返ったように痛い。思えば、東尋坊の崖っぷちで何故か先端まで行かずに休んでいたこと、確かに正解だったのかも知れない。本当に死んでいたのかも知れない。再びJRに乗って焼津駅に到着しても、この◯印の悪魔靴では、階段を普通に降りることはできない、トラウマのように。猫背になって、横歩きで、そろそろと降りて近所のホテルで空き部屋があるかを尋ねて、チェックインしました。人は思いがけず雨の降る日の階段で2回すっ転ぶと、それまでのどんなに楽しい旅の記憶も、すっ飛ぶものなんだな。