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終われば一瞬

monna88882016-03-07

焼津駅で降りて見つけた適当なホテルに空き部屋を尋ねて泊まったものの、私は何で焼津なんだろ?と思っていました。そもそもTPは「沼津」で朝ごはんを食べよう、漁港があって朝ごはんが有名らしい、そう言っていたっけ。どちらにしても、焼津も港町。唯一、朝に開いている食堂に入ってみると…シーンと静まり返った中に猫のオシッコの臭いが充満している、カウンターには昨日揚げたような天ぷらがしなびて大皿に置いてある、私達が店の引き戸を開けて顔を見せた瞬間に驚くような、睨みつけるような、面倒くさそうな顔でジロリと迎えてくれた女性がひとり、そんなお店です。メニューの中から、漁港に来たんだからと選んだ海鮮丼を注文します。

待てど暮らせど、待てど暮らせど、お客のいない食堂には猫のオシッコの臭いが充満しているだけ。もう無かったことにして外に出たい、そう強く願っていたその25分後、出てきた海鮮丼には何と!ベローンとしたマグロ切り身が2枚と、マグロの切り身を煮たもの、卵の白身を炒めたようなよくわからないもの、イカの塩辛ぽいもの、何だかわからない海藻みたいなものが乗った、見たことのないようなものが乗っています。心の中で「オエーッ」とえずくような思い。これは無いわ!付け合わせには、氣持ちの悪いような天ぷらみたいなものと、腐ったワカメみたいなものがセットで…天ぷらみたいなものを齧ると…マグロ…刺身の余りでしょうか。味噌汁らしきものに箸を入れてみると、ベローンと卵の固まりらしきものが出てきました。ぞぞーっ!

その場に突っ伏して泣きたくなったけれど我慢して、うつむきながら、がんばって少しだけ箸をつけました。ふと顔を上げると完食しているTP。あぁ、何ていい人なんだ、同時に、あぁ、いつもTPはあたしの作るごはんを美味しいと言ってくれているけれど、もしかすると全てまぼろしだったんじゃないか、そんな思いになります。でも完食した人に、ひどい店だと言うのはひどいこと。ほとんど手をつけられずに店を出ると、TPが「ひどかったね〜、でもこういうのも後になると思い出になる…」と言って不思議な表情で笑っています。

店の外に出ると急に私は腹が立って「店に入った瞬間に速攻で、出るべきやった!」などと漁港に向かって大きい声で喋り続けたりしました。きっと、昨日すっ転んだ背中、肘、腰が痛くてたまらないのでしょう。悪いときには悪いことが重なるものです。(後からTPが毎日つけている食事手帖をのぞくと「店の女の人、やる気がなく態度が悪いうえに遅くてマズい!もん、怒る」そう書いてあった…)

それはさておき、静岡駅に降りたことがないね、と言って降りてみました。今日も雨。階段をカニ歩きで降り、駅を抜けて、駅から近い駿府城跡公園をTPとお喋りをしながら歩き回ります。それでも常に氣になるのは無◯で買った悪魔靴のこと。この今履いている悪魔靴をすぐにでも処分して何とか新しい靴、雨の日でもすべらない靴を買わねば、もう一歩も歩けない!そうTPにお願いして、3軒の靴屋を回って最後に入ったスポーツ用品店でようやく、新しい靴を買ってホッとします。どうやら去年の24時間マラソンでも使われた靴だそう、24時間、どんな天候でも走ったり歩いたりできる靴なら安心、しかも私の幅広な足にぴったりと合って、厚いソールはすぐにでも、どれほど遠いところにでも歩き出したくてたまらないようなスニーカーなのです。その場で履き替えてウキウキと街の散策へ出かけます。


弥次さん       喜多さん

悪魔靴を脱ぎ捨てて、最初に見つけた本屋で弥次喜多道中の文庫本を買ってみます。駿府城趾のお堀沿いにあった銅像を見て、急に読みたくなったのです。ウキウキ!


駿府城趾の公園には、家康公お手植えの、みかんの木がありました。みかんが生ったら、金網を超えてぜひひとつもいで食べてみたい。

また電車に乗って、乗り換えの興津駅で降りて海まで散歩してまた電車に乗って、沼津駅へ。大きな街。30分ほど歩いて沼津港へ、そこで記憶を上書きするように再び漁港ならではの美味しい海鮮を食べます。

そもそも、わざわざ電車に乗って漁港を尋ねて、歩いて散歩して、街を眺めたり海を眺めたりしながら新鮮な海鮮を食べるってことは、本当にぜいたくをしていること。ありがたいことにたまたま入った食堂では、新鮮で美味しいお刺身が種類豊富に、しかも味の良いこと、お店の人の感じの良いこと、目を閉じて堪能します。沼津に感謝しながら、今日という日を有給をもらってお休みさせてくれた職場へのお土産を買って、電車に乗って、家路につきます。

1時間電車に乗って熱海へ。

さらに1時間電車に乗って新宿へ。

遠い、遠い旅行だったけれど、全部が全部面白かった。福井へ行こう!と言ってくれたTPにもたっぷりお礼を言って、日本のおへそあたりの県を5県もまたいだ旅行ができたことにもたっぷり感謝をして、くたくた、へろへろになって帰って「あー、面白かった、面白い旅行やったね!行って良かった〜、ありがとう!」そう大きな声でいつもの古いアパートのボロい部屋に向かって大きな声で言ってみました。長いようで、あっと言う間の旅行。